桑原商店(株式会社桑原商店 代表取締役桑原康介)が、このたび2021年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しました。店舗づくりと新型コロナウイルスの感染防止対策など、桑原商店のこれまでの一連の取り組みが高く評価されました。
当社では今回の受賞を契機に、飲食事業の営業を11月4日より再開するとともに、引き続きより良い店舗環境づくりを進めてまいります。
□ 概要:
桑原商店は、大正4年創業の家族経営の酒販店である。40年以上にわたり酒屋の倉庫として使用された場所を2018年12月に日本酒を軸とした酒販店兼立ち飲みができる店舗にリニューアルオープンした。
家族、倉庫、角打ち、立地、代々の歴史、新しい多様な人的ネットワークなど、リソースを最大限生かし、途中何度か仲間、家族を集めたワークショップを行いながらチームワークを形成し、最終的には工事にも家族全員で参加し作り上げ、家族全員で運営する新しいスタイルのお店になった。このデザインの特徴は表層のデザインだけではなく、チームワークやプロセスをデザインし、家族が楽しさと喜びに満ちた、安全に働ける開かれた持続可能な複合体をデザインしたところにある。このパンデミックの間、感染防止対策を満たすための新しい機能を追加したが、家族を思うことがお客さまを思うことにもなり、フレンドリーかつ居心地の良い雰囲気を提供する唯一無二のお店になっている。(スキーマ建築計画 長坂常)
プロデューサー:株式会社桑原商店 桑原康介
ディレクター(設計・企画):スキーマ建築計画 長坂常
デザイナー(VI/サインデザイン): 株式会社MOTOMOTO 松本健一
企画アドバイザー:JTQ株式会社 谷川じゅんじ
□ グッドデザイン賞審査委員による評価コメント
コロナ禍において飲食店や食品を扱う業態の抱える様々な問題をポジティブな発想で捉え、解決策が同時にお店の個性へと転じさせている点が秀逸だ。設計者からの提案であったという予定不調和というワードは通常はクライアントにはあまり歓迎されない条件である。だが、その予定不調和を大切にするプロセスから、多くの人を巻き込み、いきいきとした場の魅力を生み出すことに成功している。そこにはクライアントと設計者とデザイナーの良好な関係性が感じられる。時代の読み取りや本質を射抜く視点など、前提となるプロセスの部分から設計をスタートすることでデザインの領域を広げ、営業側もお客さんも安心して楽しめるお店としてアップデートされている。コロナ禍においてデザインの力を感じる取り組みとして評価した。
1957年創設のグッドデザイン商品選定制度を継承する、日本を代表するデザインの評価とプロモーションの活動です。国内外の多くの企業や団体が参加する世界的なデザイン賞として、暮らしの質の向上を図るとともに、社会の課題やテーマの解決にデザインを活かすことを目的に、毎年実施されています。受賞のシンボルである「Gマーク」は優れたデザインの象徴として広く親しまれています。